毛穴【医師監修】
ニキビ同様、顔の中で目立つと困るものの一つが毛穴です。特にイチゴのようにポツポツと黒ずんだ状態になってしまうと、汚れを落としそうとパックをしたり、洗顔の際にごしごしと過剰に皮脂を洗い流したりしてしまいがちですよね。 しかし、そういった自己流の毛穴ケアによってますます毛穴が広がり、さらにニキビの原因になってしまっているとしたらどうでしょうか?ここでは毛穴とニキビの関係について解説していきます。
ニキビができる原因と毛穴の密接な関係とは?
ニキビは毛穴にのみできる!
ニキビは皮膚のどこでもできるわけではありません。実はニキビのできる部位は毛穴なのです。毛穴とは毛の生える皮膚の小さい孔のこと、医学的には毛嚢や毛包といいます。呼び方は違っても意味は同じです。
この毛穴は体全体に100万個以上あるとされ顔には特に多く20万個ほどあるとされています。そのためニキビが顔にできやすいのはある程度納得できると思います。
主に毛穴は3タイプに分けられると考えられています。
- 1.産毛が生える毛穴
- 2.頭髪や腋毛などしっかりとした毛が生える毛穴
- 3.毛を生やすと共に皮脂を主に出す毛穴
があります。
顔や胸や背中には3.の皮脂を主に出す毛穴が多くありそれもまたニキビのできやすい場所とそうでない場所が分かれる原因となっています。
ニキビはどのようにできる?
ニキビはこの皮脂を多く出す毛穴が角質というもので蓋をされ、毛穴の中に皮脂がたまってしまうことから始まります。
この状態はまだ炎症を起こしていないので白っぽい小さな出来物のようにみえます。皮膚にはニキビ菌ともいわれるアクネ菌が元々誰しも存在しています。アクネ菌は皮脂を食べて生活していて、元々は皮膚に適度な潤いを与えてくれている良い菌なのです。
しかし皮脂がたくさんありすぎると、アクネ菌は喜んで皮脂を食べてどんどん増えていき、毛穴の中でも増殖しすぎてしまいます。すると脂肪酸というものをたくさん作ってしまい、それが皮膚・毛穴にダメージを与えてしまいます。いわゆる炎症を起こしてしまうわけです。
増えすぎて炎症まで起こしてしまうと、これを抑えようと私たちの体も反応してアクネ菌をやっつけようとします。
その結果、毛穴の中に膿が溜まってしまうのです。ぷちっとつぶして黄色い油のようなどろっとしたものが出た経験があると思いますが、実はその正体はこの膿です。
治療に有効なアダパレンとは?
ニキビの治療の一つに、毛穴が角質で塞がってしまうのを防ぐアダパレンというお薬があります。
この塗り薬は皮膚の表面に角質が沈着するときに起きる異常を改善し、皮脂が毛穴に溜まらないようにして白いニキビの状態ができるのを抑えます。
そのため、日本皮膚科学会のニキビの治療に関するガイドラインでは推奨度Aと最も高い評価を得ていて、軽症から重症のニキビまで全てのステージで使用することが推奨されているのです。
軽い状態である白いニキビでは1か月程度で良くなっていくことが多いです。炎症を起こしてしまっている中等度以上の場合は、それよりも長く2~3か月は治療に時間を要するとされているため、気長に使用する必要があります。
しかし中等度以上ですとニキビ菌(アクネ菌)の増殖も関与しているので抗生物質の塗り薬や飲み薬を併用するのが一般的です。
アダパレンの注意点は?
アダパレンは塗ったところに
- ・乾燥感
- ・ひりひりとした感じ
- ・赤み
- ・かゆみ
などを起こしやすいのですが、2週間を目安に続けていくと徐々にこれらの副作用は収まっていきます。
塗り方は1日1回寝る前に顔を洗い保湿剤を塗った後にまぶたは避けて顔全体に塗り込みます。
炎症がある部分には抗生物質の塗り薬も入念に塗ると良いとされます。治療によってニキビが改善した後も、白いニキビができるのを抑えるためにアダパレンは続けたほうが良いとされます。
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医師監修
オラクル美容皮膚科東京新宿院 直子医師 -
- 経歴
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2012年3月 北里大学医学部医学科 卒業
2012年4月 北里大学病院 勤務
その後、都内クリニックで研鑽を積む
2020年2月 アクネクリニック新宿院 院⻑となる
2024年 オラクル美容皮膚科 東京新宿院勤務
ニキビは毛穴のみにできるため、ニキビケアには毛穴を清潔に保つことが第一と言えるでしょう。 ニキビは命にかかわるような疾患ではありませんが、悪化した状態に至ると将来にも皮膚がクレータのように凸凹した状態が残ってしまい、美容や見た目には敵となる疾患です。原因がはっきりとわかってきており、治療のための薬も揃ってきています。 日ごろの洗顔による皮膚の洗浄と早期の対処で、将来嫌な思いをせずに済むよう皮膚科で正しい治療を受けてくださいね。