ニキビがしこりになってしまいました。原因や治し方はありますか?
Y.Kさん(男性 20代)
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ニキビが原因でしこりができるのはどうして?
ニキビによるしこりは、3つの段階を経て形成されます。
■第一段階:毛穴に皮脂が詰まる
正常な状態のお肌では、皮脂腺から適度な量の皮脂が分泌され、これが肌表面に油膜をはることで外部の刺激からお肌を守っています。ところが角質が荒れたり毛穴に角栓が詰まったりすると、皮脂腺から分泌された皮脂が正常に排出されず、毛穴の中に詰まりはじめます。
■第二段階:毛穴の中で炎症が起こる
毛穴に詰まった皮脂はアクネ菌をはじめとするさまざまな菌の大好物ですので、これを食べて菌が増殖し、毛穴の中で炎症を起こすようになります。これが「炎症ニキビ」の発生している状態です。
■第三段階:炎症によって毛穴の構造が崩れる
毛穴の中の炎症がひどくなるとアクネ菌だけでなく、ブドウ球菌も増殖します。そして、このブドウ球菌が暴れはじめると炎症がさらに悪化し、大きく腫れたり、膿が溜まったりするようになります(膿疱の形成)。また、炎症が酷くなると毛穴の壁が破壊されてその構造が崩れ、毛穴の周囲にある組織にまで炎症が拡大します。
炎症が治まると、人の体は傷ついた組織を修復しようとします。しかしこのとき、肌組織を修復しようとするあまり、肌細胞を過剰に生成してしまうことがあります。
するとこれが固く残り、しこりが形成されてしまうのです。
大きなニキビと粉瘤の見分け方
ニキビと似た症状に、「粉瘤(ふんりゅう)」と呼ばれるできものがあります。ニキビと粉瘤では症状や治療方法が異なるため、悪化させないために粉瘤との違いを把握しておく必要があります。
粉瘤とは何か
粉瘤は別名「アテローム」とも呼ばれており、本来皮膚から剥がれ落ちるはずの角質や皮脂といった老廃物が皮膚の下にある袋に溜まってできる腫瘍です。体表のどの部位にも形成されますが、とくに顔や首、背中、耳の後ろなどに生じやすい傾向があります。大きさは数ミリから、10センチ以上のものまであります。
放置すると老廃物がどんどん溜まり、炎症を起こしたり大きくなったりするため、早めの処置が大切です。
ニキビと粉瘤の見分け方
①大きさとしこりの有無
ニキビは大きくても数ミリ程度に対して、粉瘤は悪化すると大きさを増していきます。また、半球状のしこり(やや盛り上がった状態)となるため、数センチ以上の大きさがある場合や丸く膨らみがあるときは、粉瘤の疑いがあります。
②中央に黒点状の開口部がある
粉瘤は盛り上がったできものの中央部に、「開口部」と呼ばれる黒い点があり、強く押すと膿のような臭くドロドロとした物質が出てくるケースがあります。
粉瘤が小さいと黒ニキビと見分けがつきにくい場合や、自身で無理に圧迫すると悪化して炎症性粉瘤を引き起こす恐れがありますので注意しましょう。
先述のとおり、ニキビと粉瘤では治療方法が異なります。粉瘤をニキビと同じ方法で治療を行っても、良くなることはありません。
また、粉瘤の治療方法は切開や切除手術が必要となる場合が多いため、ニキビと見分けがつかない、半球状のできものがある、赤く炎症を起こしているといった場合は、速やかに皮膚科を受診しましょう。
ニキビのしこりをつくらないためにはどうすればいい?
ニキビのしこりは、毛穴が詰まって炎症が起こり、これが悪化して毛穴周辺の組織を傷つけることによって生じます。そのためニキビのしこりをつくらないようにするためには、「毛穴を詰まらせないこと」と「ニキビを悪化させないこと」が大切です。
■毛穴を詰まらせないためにはどうすれば良いのか
毛穴詰まりは、その周辺の角質が厚くなるとともに、古い角質と過剰に分泌された皮脂が混じって角栓が形成されることによって生じます。そのため毛穴詰まりを防ぐためには、お肌のターンオーバーを正常に保つことや、皮脂の過剰分泌を防ぐことが重要になります。 具体的には、以下のような対策が効果的でしょう。
- ・質の良い睡眠をとる
- ・バランスの取れた食事
- ・適度な運動をする
- ・代謝を改善する
- ・ホルモンバランスを整える
■ニキビを悪化させないためにはどうすれば良いのか
ニキビができてしまった場合、しこりをつくらないためにはその症状を悪化させないことが大切です。
初期段階のニキビでは毛穴に白いものが見えたり(白ニキビ)、これが変化して黒くなったり(黒ニキビ)していますが、無理に潰そうとはせず、食生活や生活習慣を改善するとともに、正しい洗顔とスキンケアをすることで、早期の改善が期待できます。
これに対して炎症が起こってしまった場合、患部をなるべく触らず清潔に保ち、酷くなるようであれば皮膚科で治療を受けることをおすすめします。
ニキビのしこりができてしまった場合の治し方
できてしまったニキビのしこりを治すには、皮膚科や美容クリニックでの治療が効果的です。
ニキビのしこりに対するアプローチ方法は、しこりをまるごと切除する「切開手術」と「レーザー治療」の2種類に分けられ、切開手術は、皮膚を切る範囲が広範囲に及ぶ可能性がある、傷跡が残る可能性がある、といったデメリットがあります。
また、しこりまで進行した場合、ニキビ治療の対象外となる可能性があるため、ご自身の症状を確認するためにも早めに専門機関でカウンセリングを受診しましょう。
この記事のまとめ
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医師監修
オラクル美容皮膚科東京新宿院 直子医師 -
- 経歴
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2012年3月 北里大学医学部医学科 卒業
2012年4月 北里大学病院 勤務
その後、都内クリニックで研鑽を積む
2020年2月 アクネクリニック新宿院 院⻑となる
2024年 オラクル美容皮膚科 東京新宿院勤務
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