漢方製剤でニキビを治す【医師監修】
更新日:2016年3月1日
ニキビはたくさんの人が経験する皮膚のトラブルですが、なかなか治らないことも多く、顔にできることが多いことから、見た目も気になる悩ましい疾患です。さて、このニキビに対して漢方製剤を使った治療が行われることがあるのをご存知でしょうか? ここでは漢方を使った治療におけるメリットやデメリット、方法などについて説明します。

漢方製剤によるニキビ治療とは?
ニキビ治療での漢方製剤の選び方とは?

漢方薬は、東洋で古くからの経験などに基づいて体系化した東洋医学において、植物や鉱物などのうち薬効を持つ生薬を複数組み合わせて作られた薬です。 近代の日本における医療は、西洋医学が主ですが、様々な症状に対して漢方製剤が使われることも増えています。皮膚科でも、外用薬など外からの治療だけでなく、体内から体調を整え治療していくという意味もこめて、ニキビ治療の一つとして漢方薬の処方を行うこともあります。
漢方では、東洋医学の理論に基づいて"証(しょう)"と"気・血・水(き・けつ・すい)"というようにそれぞれの体質をみて、分類していく考え方があります。漢方を使う時には、症状だけではなく、個人の体質を重んじて漢方薬が処方されるのです。
そのため、ニキビの治療でも、症状とは関係なさそうな他の体の状態を聞いたり診たりされることもあります。それによって、個人の体質を見極め、体質と症状に合った漢方薬が処方されることになります。
ニキビ治療に使われる漢方薬は?
上防風湯(セイジョウボウフウトウ)
炎症を和らげる働きがあるため、腫れたり赤くなったニキビが出ている場合に、症状を抑えることができるとされています。
桂枝茯苓丸加薏苡仁(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)
血液の流れを良くし、老廃物の流れを良くする目的で処方されることがあります。ホルモンバランスを整える効果もあります。
荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)
皮膚が元々色黒で、炎症を起こしやすい人のニキビに有効とされ、炎症を抑えて肌の保湿効果があります。
十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)
ニキビの炎症を抑える作用があるとされ、膿の排出などを助けます。
漢方製剤をニキビ治療に使うメリットは?
ニキビの治療は様々なものがありますが、漢方を使うメリットとは何でしょうか?
西洋医学が病気や症状のメカニズムや原因を研究しそれに対して治療をするのと違い、漢方を使った東洋医学は、それぞれの体質を判断し、体調全体を良くしていくという観点から漢方を使い、治療を行うという考え方をします。
そのため、ニキビに対して漢方を飲むことで、他の不調も合わせて良くなるようなこともなかにはあります。ニキビそのものを治すだけでなく、元の不調を取り除くことができれば一石二鳥と言えるでしょう。

漢方製剤をニキビ治療に使うデメリットとは?
では、一方で漢方製剤をニキビ治療に使うことでのデメリットとはどのようなことでしょうか。
まず、西洋医学の薬やレーザー治療などと比べると、即効性が劣るということがあります。
漢方製剤はすぐに効くというわけではなく、ニキビ治療では漢方だけの治療では効果が薄いこともあります。漢方だけでニキビを根本から改善することは難しいので、皮膚科で他の根本的な治療を受け、併用として漢方を取り入れられると良いでしょう。
また、漢方は一般のクスリと違って安全と思われていますが、漢方も他の薬と同様に薬品です。副作用が起こることもあり、またメカニズムが西洋医学と違いはっきりしないものも多いためわかりにくい場合もあります。それぞれの方に合うかどうか、医療機関などで確認することが大切です。
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医師監修
オラクル美容皮膚科東京新宿院直子医師
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- 経歴
- 2012年3月 北里大学医学部医学科 卒業
2012年4月 北里大学病院 勤務
その後、都内クリニックで研鑽を積む
2020年2月 アクネクリニック新宿院 院⻑となる
2024年 オラクル美容皮膚科 東京新宿院勤務